日本の一次調整力(FCR)市場における蓄電池のネガポジ運用

はじめに

日本の系統運用者は、周波数の変動を数秒以内に補正できるよう待機する蓄電池に対価を支払っています。このサービスは一次調整力(FCR)と呼ばれ、電力需給調整力取引所(EPRX)が運営する需給調整市場で30分コマ単位で取引されます。蓄電池は応動容量をkW(ΔkW)で入札し、実際に周波数変動が起きたかどうかにかかわらず、その容量に対して容量価格を受け取ります。

周波数を左右するのは需要と供給のバランスです。周波数が低下したとき1、FCRを提供する蓄電池は、放電を増やして供給を足すことも、充電を減らして需要を差し引くこともできます。系統から見れば効果はどちらも同じですが、市場は蓄電池の登録計画に対する応動量を計測します。「ポジのみ」の運用では追加の放電だけを提供するため、入札量は蓄電池の定格放電出力が上限になります。「ネガポジ」の運用では、計画していた充電の削減分も応動として数えられます。フル出力で充電中の蓄電池は、充電を止めたうえでさらに放電を始められるため、入札量は定格の2倍まで達し得ます。

こうした利点がある一方で、ネガポジ運用には大規模に実行することを難しくする技術面・運用面のハードルがあり、需給調整市場の参加者の多くは放電のみで入札しています。本記事の目的は、それによって実現されずにいる収入を定量化することです。当社は2025年4月から2026年8月までの実際の市場データを使い、2段階でネガポジの価値を測定しました。第1段階ではFCR容量価格と前日スポット価格という価格データだけから、第2段階では同じデータの上で、3つの代表的なアセットの運用を同じ期間についてポジのみとネガポジでそれぞれシミュレーションして評価しました。どちらのモードでも、FCRはスポット市場での取引だけの場合をはるかに上回る収入を蓄電池にもたらしました。結果は対象とした4つのエリアで一貫しています。全期間ではアセットとエリアに応じてネガポジはポジのみの1.3〜1.8倍のFCR収入を稼ぎ、2026年の期間では最大2.2倍に達しました。

主な結果は次のとおりです。

  • 全期間では、ネガポジはポジのみの最大1.8倍のFCR収入を稼ぎました。4エリアのどのアセットでも1.3倍を下回ることはありませんでした。
  • 新しい前日取引の需給調整市場(2026年4月〜8月)では、その差は2.2倍まで拡大しました。単独型蓄電池では市場価格の低下自体が差を広げます。1年違いの同じ5か月間で、収入比率は1.29倍から1.52倍に上昇しました。
  • この差は掛け算で効く2つの効果から生まれます。蓄電池は充電しながらFCRに参加し続けられること、そして充電中は定格放電出力の2倍まで入札できることです。

ネガポジの経済性

図1は2MWの蓄電池を例にこの仕組みを示したものです([3] p.18を基に作成)。需給調整市場が対価を支払うのは、蓄電池の登録計画から放電上限までの幅に対してです。待機中の蓄電池は0から+2,000 kWまで動けるため、ΔkW = 2,000 kWです。フル出力で充電する計画の蓄電池は−2,000 kWの位置にあり、+2,000 kWまで動けるため、ΔkW = 4,000 kWです。追加の2,000 kW分の入札容量を生み出しているのは、充電そのものです。

図1図1

図1. 2MW蓄電池の入札容量(ΔkW)。左:ポジのみ。登録計画は待機で、入札量は放電上限までの幅。右:ネガポジ。登録計画は2,000 kWでの充電で、入札量はそこから放電上限までの幅。

ある約定コマの間に蓄電池が E kWh を充電するとします。ネガポジでは、その背後にある 2E kW の充電出力が入札量に加わり、容量価格で対価が支払われます。電力量そのものは追加のコストではありません。ポジのみの蓄電池も同じ電力量を、FCRの外の別のコマで購入するからです。本当の追加コストは、いま充電する場合とその日の最安の時間帯に充電する場合の価格差です。この2つを組み合わせると、当社独自の指標である「ネガポジ・マージン」が得られます。

ネガポジ・マージン = 2 × 容量価格 −(スポット価格 − その日の最安スポット価格)(充電1kWhあたり円)

この指標は、充電1kWhが、蓄電池がすでに稼いでいるFCR収入に加えて、いくら稼ぐかを表します。マージンが負の場合、そのコマでの充電は割高であり、ポジのみの蓄電池がそうするように別の時間帯に充電したほうが得です。

負の値をゼロとして全コマで平均すると、マージンは2025年度に充電1kWhあたり22〜31円で、67〜92%のコマで正の値でした(表1)。ネガポジはポジのみより多くの電力量を蓄電池に通します。蓄電池の劣化コストをスループット1kWhあたり10円と仮定しても、マージンは十分にそれをカバーします。価格が下がった2026年の市場ではマージンは7〜16円に低下しましたが、エリアに応じて65〜96%のコマで依然として正の値でした(表1、図2)。

エリア全期間:マージン正の割合2025年度:マージン正の割合2026年4〜8月:マージン正の割合
東京21.7円93%24.1円91%15.7円96%
中部20.3円73%22.5円67%14.8円88%
中国20.1円71%24.4円73%9.3円66%
九州24.0円84%30.6円92%7.5円65%

表1. エリア別のネガポジ・マージン:負の値をゼロとして全コマで平均した充電1kWhあたりの円と、マージンが正となるコマの割合。全期間は2025年4月〜2026年8月。

図2図2

図2. 上:4エリアのオフラインFCR容量価格の月平均(太線は平均)。下:FCRコマ内に充電した1kWhあたりのネガポジ・マージン(負の値をゼロとして全コマで平均)。点線は前日取引の需給調整市場が始まり価格が下落した2026年3月14日。

追加収入は容量価格に連動するため、2025年度に最も大きくなりました。一方、ポジのみに対する相対的な優位性は価格と逆方向に動きます。ポジのみの蓄電池は充電のためにFCRから離脱しなければならず、その犠牲を受け入れるのはFCRの対価が十分に高い間だけです。価格が下がると入札はどんどん減りますが、ネガポジはマージンが正である限りFCRの中で充電を続けます。したがって太陽光を持たない蓄電池では、FCRが安くなるほどネガポジの相対的な優位は大きくなり、その分、賭かっている金額は小さくなります。

シミュレーションの設定と前提

3つのアセットを当社のディスパッチエンジンで、2025年4月から2026年8月下旬まで30分解像度で連続してシミュレーションしました。各アセットは、入札量を定格放電出力までとするポジのみと、充電容量を入札量に加えるネガポジの2つのモードで実行しています。各アセットはスポット市場のみで取引するケースでも実行しました。スポット取引は本記事の主題ではないため結果は示しませんが、どのエリアでも2つのFCRモードの収入がスポットのみを上回りました。結果は全期間について報告します。そのうえで、2025年度(2025年4月〜2026年3月、大部分が旧来の週間市場)と2026年4月〜8月(新しい前日取引の需給調整市場)という2つの期間を、違いが重要と考えて区別します。

アセット電圧蓄電池太陽光アレイ受電点容量カップリング
単独型蓄電池高圧2,000 kW / 8,000 kWh2,000 kWAC
高圧太陽光+蓄電池高圧2,000 kW / 4,300 kWh2,380 kW(DC)1,990 kWAC
低圧太陽光+蓄電池低圧49.75 kW / 216 kWh25 kW(DC)49.5 kWAC

表2. 3つのアセット。太陽光アレイの容量はDC kW。受電点容量は受電点における連系上限。

市場に関する入力はすべて実績データです[9–12]。エリア別・30分コマ別のオフラインFCR約定価格、日本卸電力取引所(JEPX)の前日エリアプライス、各エリアの太陽光出力のうちコマごとに出力制御された割合、各サイトの毎時の気象データを使っています。系統からの充電は、ネガポジに必須であるため、どちらのモードでもすべてのアセットで有効にしています。

運用の意思決定は、両モードで共通の単一のルールベースの方策が行います。ディスパッチャーは30分コマごとに、12時間先までを見て蓄電池のエネルギーを評価します。FCR容量収入、スポットでの売買、サイクル1kWhあたり10円の劣化コストを、その時間帯の実績価格と太陽光出力に基づいて評価し、見込まれるFCR約定と競合しない低価格の時間帯に充電を計画します。ポジのみの運用では同じコマで充電と約定の保持を両立できないため、わずかに安い電力が他にあっても、FCRの約定価格がほぼゼロの時間帯に充電を置きます。ネガポジの運用は約定の中で充電します。それ以外のルールはすべて両モードで共通なので、両者の差は主に入札の定義の違いを反映しています。ディスパッチのルールは最適化されたものではなく、簡略化されたものです。充電と売電のタイミングをスポット価格だけで決めることはネガポジにはほとんど影響しませんが、ポジのみには本来維持できたはずの約定を失わせる可能性があります。したがってポジのみのベースラインは控えめであり、報告する収入比率は概ね上限値です。ただし、どのようなポジのみのルールでも充電と約定の保持を同時には行えず、入札量が定格放電出力を超えることもありません。より賢いルールでも差は縮まりこそすれ、なくなりはしません。

すべての入札はそのコマの平均約定価格で落札されると仮定しています。収入の絶対額はあくまで参考値で、主眼は比率にあります。この比率は、ネガポジの大きな入札量を市場がポジのみと同じ割合で吸収することを前提としています。応動電力量のインバランス精算は対象外としています。太陽光併設のアセットは、太陽光の発電時間帯にはFCRを提供しません。FCRの約定保持にはエネルギーが必要で、約定コマあたり定格1kWにつき0.0525 kWhを消費します。また、約定中の蓄電池は、各コマの応動電力量を供給できる限り、蓄電量にかかわらず入札できます。

エリア別の結果

結果は東京・中部・中国・九州の4エリアについて報告します。これらは2025年度のコマの3分の2以上(67〜93%)でオフラインFCR市場がゼロ超の価格で約定したエリアです2

図3図3

図3. アセット別の月次FCR収入比率(4エリア合計)。黄色の点線(マーカー付き)は太陽光2サイトの月平均日射量(右軸)。縦の点線は前日取引の需給調整市場が始まり価格が下落した2026年3月14日。

単独型蓄電池高圧太陽光+蓄電池低圧太陽光+蓄電池
エリア参加率コマ数入札量収入参加率コマ数入札量収入参加率コマ数入札量収入
東京80 → 93%1.16倍1.13倍1.31倍28 → 41%1.47倍1.22倍1.78倍35 → 44%1.25倍1.22倍1.52倍
中部63 → 74%1.17倍1.13倍1.30倍24 → 33%1.37倍1.21倍1.62倍28 → 35%1.23倍1.22倍1.48倍
中国61 → 73%1.19倍1.14倍1.32倍23 → 29%1.27倍1.23倍1.50倍27 → 32%1.16倍1.23倍1.38倍
九州74 → 89%1.21倍1.13倍1.33倍29 → 40%1.39倍1.18倍1.58倍34 → 42%1.24倍1.19倍1.43倍

表3. エリア別のFCR収入比率の分解と参加率(2025年4月〜2026年8月)。「参加率」はFCR約定を保持するコマの割合(ポジのみ → ネガポジ)。3つの比率(ネガポジ ÷ ポジのみ)は、約定コマ数の伸び、平均入札量の伸び、収入の比率。

収入比率を押し上げる要因は2つあります(図3)。第1の要因は太陽光の季節サイクルです。併設サイトの日射量は冬から夏にかけておよそ3倍になります(同図の黄色の線)。夕方の売電の後、ポジのみのプラントはちょうど最も対価の高い夜のコマを空の状態で過ごし、深夜すぎに充電するまでFCRに参加できません。夏に約定を保持できるのは約5コマに1コマです。ネガポジは同じ夜の時間帯を約定の中で充電しながら過ごすため、差は毎年夏にピークを迎えます。第2の要因は2026年3月の市場の変化です。前日取引への移行、競争の大幅な激化、そして上限価格の19.51円[5]から15円[7]への引き下げです。その効果は季節性を持たない単独型蓄電池にはっきり表れます。1年違いの同じ4月〜8月の5か月間で、収入比率は1.29倍から1.52倍に上昇しました。市場が安くなるほど、充電専用のコマを確保することが割に合わなくなるからです。

単独型蓄電池。 単独型蓄電池はポジのみでも好成績です。充電のためにFCRを離れる必要がほとんどないからです。2MWの蓄電池では約定コマ1つで約105 kWhが失われる一方、系統からフル出力で充電すれば1コマで最大1,000 kWhを戻せます。つまり充電1コマで約定およそ10コマ分を賄え、しかもその1コマは安い時間帯を選べます。ポジのみでもすでに61〜80%のコマでFCRを保持しているのはそのためです(表3)。ネガポジはこれを2つの面で改善します。充電コマ自体がFCRに残るため、充電がコマを犠牲にしなくなること、そして充電中は入札量が定格放電出力を超えて大きくなることです。2つの効果は掛け算で効きます。東京では約定コマ数1.16倍と入札量1.13倍で、観測された1.31倍がおおむね説明できます(表3)。

高圧太陽光+蓄電池。 太陽光併設プラントは、ポジのみでの出発点がより弱くなります。太陽光が発電しているコマはFCRに使わないため、夕方は昼間に貯めたエネルギーの売電に充てられ、充電は昼の自家太陽光からでも夜の系統からでも、いずれもFCRの外で行われます。ポジのみの参加率は23〜29%です(表3)。ネガポジは夜の充電の間も入札を続け、しかもその入札量を大きくするため、参加率は29〜41%に、FCR収入は1.50〜1.78倍に上がります。差が単独型蓄電池より大きいのは、ポジのみのベースラインが弱いからです。使えるのは、日が沈んでいてかつ価格の付いている時間帯だけです。夕方の売電の後、プラントはまさにその時間帯を空の状態で過ごしますが、ネガポジは充電しながらその時間帯の約定を保持します。

低圧太陽光+蓄電池。 49.5 kWのユニットは同じ構図を40分の1のスケールで示します。FCRを保持するコマはポジのみで27〜35%、ネガポジで32〜44%(表3)、FCR収入は1.38〜1.52倍です。この規模のユニットは単独では市場に参加できず、市場の最低容量1 MWに達するだけのユニットを束ねるアグリゲーターを通じて参加します。ここに示す数値はユニット1台分で、アグリゲーターの取り分を差し引く前のものです。

表4は同じ期間についてセグメント別の全体像を補完します。「平均入札量」は、アセットが入札したコマにおけるΔkWの平均です。ポジのみは定格放電出力を超えられませんがネガポジは超えられるため、単一のコマでは入札量は定格の2倍近くに達します(単独型蓄電池で3,790 kW、低圧ユニットの49.75 kW蓄電池で94 kW)。これは約定を保持しながらほぼフル出力で充電している状態です。「蓄電池収入」はFCR収入に前日取引の損益を加えたものです。その比率がFCR収入の比率をわずかに下回るのは、ネガポジが約定の中で、ポジのみが選ぶよりわずかに高い時間帯に充電し、取引収入を少し失うためです3

セグメント参加率(ポジ → ネガポジ)平均入札量(ポジ → ネガポジ)FCR収入(3エリア平均、ポジ → ネガポジ)FCR収入比率蓄電池収入比率
単独型蓄電池68% → 82%2,000 → 2,265 kW(+13%)5.59億円 → 7.34億円1.31倍1.29倍
高圧太陽光+蓄電池26% → 36%2,000 → 2,421 kW(+21%)2.14億円 → 3.53億円1.60倍1.56倍
低圧太陽光+蓄電池31% → 38%49.75 → 61 kW(+22%)630万円 → 930万円1.45倍1.42倍

表4. セグメント別まとめ(2025年4月〜2026年8月)。参加率・入札量・比率は4エリアの中央値。FCR収入は東京・中部・九州の平均。中国エリアは2MWのアセットが小さな市場を支配してしまうため除外しており、そのため収入のペアから導かれる比率は比率の列とわずかに異なります。収入は、シミュレーションの設定の節で述べた落札の前提を適用する前の値です。

ディスパッチ事例

単独型蓄電池について、4日間のウィンドウを1つ選んで事例として示します。最上段のパネルは前日スポット価格とFCR容量価格、そして破線で各コマのネガポジ・マージン(負の値はゼロとして表示)を示します。2つの蓄電池パネルは、ゼロ線の上に充電、下に放電、右軸に充電率を示し、FCR約定コマを網掛けで表します。ネガポジの約定コマでは、蓄電池は計画より充電を減らすことで応動します。充電バーの上の薄い色の部分が削減された充電で、実際に蓄電池に入ったのは濃い部分だけです。ゼロ線の下の薄いグレーは、放電として提供された応動を表します。網掛け時間帯のゼロ線沿いの小さな充電バーは、夜間、ネガポジがしばしば充電率の下限に張り付いたまま、各コマの応動電力量をわずかに上回る程度しか充電せずに約定を保持していることを示します。2つの収入パネルは、各コマの容量収入に前日市場での売電を加え、買電を差し引いたものを示します。

単独型蓄電池、九州、2026年5月23日〜26日。(図4)九州では昼の太陽光余剰により最安の時間帯が正午前後に来るため、どちらのモードもその時間帯に充電し、夕方に放電します。主な違いは夜に生じます。夕方の売電の後、ポジのみは充電率の下限で約定を持たずに次の安い昼を待ち、192コマ中64コマの約定にとどまります4。ネガポジは同じ時間帯を下限に張り付いたままFCRを保持し、2,000 kW超の入札に対して各コマの応動電力量をわずかに上回る程度の充電を行います。このウィンドウでのFCR収入は、ネガポジの400万円に対しポジのみは120万円です。

図4図4

図4. 単独型蓄電池、九州、2026年5月23日〜26日。

結論

当社のシミュレーションでは、市場が成立したすべてのエリアとすべての月で、ネガポジがポジのみを上回りました。全期間では、単独型蓄電池はFCR収入が31%、高圧太陽光+蓄電池は60%、低圧ユニットは45%増えました。この増分は一貫して同じ2つの効果によるものです。蓄電池が充電しながらFCRに参加し続けられること、そして充電中は定格放電出力の2倍まで入札できることです。

1kWhあたりの価値は価格だけからも読み取れます。ネガポジ・マージンは平均で、2025年度に充電1kWhあたり22〜31円、2026年に7〜16円で、ネガポジが加える収入はこれに比例します。一方、ポジのみに対する比率は蓄電池の運用のしかたに依存するため、価格だけではなくシミュレーションから得られます。市場が安くなるにつれて、比率は3つのアセットすべてで上昇しました。季節性を持たない単独型蓄電池が市場の効果を最も明確に切り出しており、1年違いの同じ月で1.29倍から1.52倍に上昇しています。2026年9月1日から適用される10円の上限価格[8, 6]が示唆するように容量価格が低いまま推移すれば、ネガポジの優位は今後も拡大していくと考えられます。

参考文献

  1. 電力需給調整力取引所(EPRX)「取引規程(需給調整市場)」第18版
  2. EPRX「取引ガイド(全商品)」第10版
  3. EPRX「需給調整市場かいせつ資料」
  4. EPRX「揚水発電設備または蓄電池設備を用いて需給調整市場に参入する場合の取扱いガイド」第3版
  5. EPRX「需給調整市場のΔkW上限価格について」2024年9月30日
  6. EPRX「需給調整市場のΔkW上限価格について」2026年7月30日
  7. 経済産業省 資源エネルギー庁「需給調整市場について」第110回 制度検討作業部会 資料4、2026年1月23日
  8. 資源エネルギー庁「需給調整市場について」第4回 電力安定供給ワーキンググループ 資料6、2026年7月14日
  9. EPRX 公表の取引結果(エリア別・30分コマ別。月次・期間別に集計)
  10. 日本卸電力取引所(JEPX)前日スポット市場エリアプライス
  11. 一般送配電事業者 公表のエリア需給実績・出力制御データ
  12. ECMWF ERA5再解析気象データ(Open-Meteoアーカイブ経由で取得)

脚注

  1. 執筆時点では、日本の需給調整市場で認められているのは上げ方向の調整(低下した周波数を定格値に戻す方向)のみです。

  2. 本記事では、「収入比率」はネガポジでの収入をポジのみでの収入で割った値を、「参加率」は全30分コマのうち蓄電池がFCR約定を保持しているコマの割合を指します。特に期間を示さない場合は2025年4月〜2026年8月についての値です。範囲表記は4エリアにわたる幅を、単一の数値は4エリアの中央値を表します。

  3. ネガポジは充電のための電力を、FCR約定を保持している時間帯に購入します。その時間帯は安いものの常にその日の最安ではないため、同じ電力量にわずかに多く支払うことになり、また約定中は、ポジのみなら行ったはずの利益の出る取引を時折見送ります。この2つの効果が取引の損益を削る一方で、FCR収入は増えます。

  4. この期間、夜間の充電は1kWhあたり約13円かかるのに対し、昼は約3円です。ポジのみは同じコマで充電とFCR約定の保持を両立できないため、充電コマは容量収入も生みません。そのためディスパッチャーは昼の価格の谷を待ちます。